静岡第一クリニック

  1. TOP
  2. お知らせ一覧
  3. ニュース
  4. ネット流通や個人輸入の「偽造医薬品」に注意

 男性機能を高める精力薬を購入するとき、一番気を付けなくてはいけないのは、危険なニセモノ薬にだまされないことです。誰にも相談せずにコッソリ購入しがちな精力剤は、まがい物をつかまされる危険性が非常に高い分野です。実際、ネット上で流通している「バイアグラ」などの男性性機能不全(ED)治療薬は、高い割合でニセモノが流通していることがわかっています。

 故意に偽装表示された偽造医薬品は、英語でカウンターフィットメディシンなどと呼ばれています。日本では偽造薬があまり話題になることはありませんが、海外ではさまざまな病気の偽造薬が増えており、WHOでさえその規模の把握は困難だとしています。

 2020年1月にBBCが報じたところでは、世界の偽造薬の取引額は年間2千億ドル(約20兆円)に上り、そのうち4割がアフリカ、欧州と米国がそれぞれ2割を占めています。また、低品質な薬も広く出回っており、米国の学会誌によると、特に深刻なアフリカの39カ国においては低品質のマラリア治療薬によって、推計で毎年12万人以上の5歳未満の子供が亡くなっているという悲惨な状況です。

 BBCの報道に限らず、偽造薬や低品質な薬によって多くの命が失われていることは、過去にもタイムズ紙などの海外メディアで報じられており、「品質の保証された薬を届ける」ことが仕事の薬剤師にとっては、偽造医薬品の流通はよく知られた問題となっています。

 アニメ「ルパン三世」の登場人物・銭形警部が所属することでおなじみのインターポール(国際刑事警察機構)では、08年から「オペレーション・パンゲア」と呼ばれる偽造薬撲滅作戦を展開しています。20年3月の「オペレーション・パンゲア13」では、440万点の偽造品を押収し、121人を逮捕しました。今回は新型コロナウイルスに関連したものが多く、偽造フェイスマスク、規格外の手指消毒器、未承認の抗ウイルス薬などが押収されています。

 さて、日本はといえば、17年にC型肝炎治療薬の偽造品が国内流通していることが発覚、21年には国内製薬企業が品質管理に問題があるとして業務停止命令を受けるなどの事例はあるものの、偽造医薬品の数は海外と比較して非常に少ないとされています。一方で、個人輸入となると事情は異なります。15年に関税で差し止められた偽造薬は、なんと10年前の100倍に当たる、およそ千件。ファイザー日本法人など複数の製薬企業による16年の合同調査では、日本とタイの販売サイトで入手したED治療薬(バイアグラなど)の40%が偽造品でした。個人輸入は、非常にリスクのある行為なのです。

安全なED薬を処方してもらう

 では、個人輸入に頼らず、日本の薬でなんとかするにはどうしたらよいでしょうか。まず、性機能に対する切実な悩みであれば、泌尿器科などの病院をしっかりと受診するのがいいでしょう。日本性機能学会/日本泌尿器科学会のガイドラインによれば、男性性機能不全の原因は複数あり、加齢だけではなく、他の病気からくる症状の一つである可能性もあるのです。