早漏にビタミンD不足が関連か(ED患者の約25%が悩む早漏)
先天性早漏患者の4割がビタミンD欠乏症または不足
2018年12月07日 06:10
早漏は頻度の高い男性性機能障害の1つで、有病率は30〜40%に及ぶと報告されている。早漏には多くの因子が関与していると考えられているが、その病因はほとんど解明されていない。このほどエジプト・Cairo UniversityのAlaa Mohamed Abd El aal氏らがビタミンDに注目した研究を実施し、先天性早漏患者の4割にビタミンD欠乏症またはビタミンD不足が認められたことをInt Urol Nephrol(2018; 50: 1975-1980)に報告した。
先天性早漏患者の血中ビタミンD値を健常対照者と比較
早漏は、腟内で射精を遅らせることが困難で、苦痛や欲求不満、性的親密さの阻害など、負の影響をもたらす状態を指す。国際性機能学会によると、先天性早漏は人生初の性交から存続する早漏で、毎回またはほぼ毎回、腟内への挿入前、または挿入後1分以内に射精が生じることと定義されている。
射精の制御には多くの神経伝達物質が関与しているが、中でも主要な役割を果たしているのがセロトニンである。早漏治療に対する適応はないものの、選択的セロトニン再取り込み阻害薬が中枢のセロトニン濃度を上昇させ、射精を遅らせることが明らかにされている。
一方で、近年、ビタミンDの欠乏が注意欠陥・多動性障害(ADHD)やうつ病、自閉症などの精神障害におけるセロトニン神経伝達の調節障害に関与している、ビタミンDがセロトニンの合成をコントロールしているなど、ビタミンDとセロトニンに関する研究結果が相次いで報告されている。
こうした知見を踏まえてAbd El aal氏らは、先天性早漏にビタミンDが関係しているのではないかと考え、これを検証するために先天性早漏患者と健常対照者の血中ビタミンD値を比較した。
Abd El aal氏らは「今回の研究において、血中ビタミンD低値は先天性早漏と有意な関連を示した。今後、血中ビタミンD低値を呈する先天性早漏患者を対象とした試験で、ビタミンDサプリメントの有効性を検討する必要がある」と結論している。
(メディカルトリビューンより)