人生100年時代において健康寿命の延伸が重視されている。しかし、女性に比べて男性では、多くの疾患の診療のアウトカムが不良であり、如何にして男性の健康を守っていけばよいかが課題である。
順天堂大学泌尿器外科学教授の堀江重郎氏はテストテロン値の低下と疾患との関連を踏まえ、男性の健康を考えるうえでテストステロン値の測定の重要性を指摘した。
ストレス下での男性で分泌が抑制的
代表的な男性ホルモンであるテストステロンは、女性において卵巣、脂肪、副腎から産生されており、生殖年齢の女性ではエストロゲンの10倍以上のテストステロンが体内で作用していると言われている。
テストテロン分泌量の性差を唾液中の活性量でみると、男性は30歳代で幅広く正規分布しているのに対し、女性は対数変換すると正規分布するという。しかし、テストテロン中央値は女性で約30pg/ml、男性で90pg/mlと、女性は男性の3分の1程度であった。
テストテロンは身体の様々な組織や機能と関連し、骨、筋肉、血液、性機能、血管、脂質代謝等への影響が知られている。
テストテロン値が低下すると眠りが浅くなる、集中力が低下する、人間関係がおっくうになるなど、社会生活に支障をきたす原因になりうることが分かっている。
テストテロン値の低下を促す要因の一つにストレスがある。男性ではテストステロンのほとんどは精巣で産生されるが、ストレスが加わると視床下部から抑制的な指令が出される。また、テストテロンの分泌は加齢とともに減少する。(Medical Tribune 2019年3.07から抜粋)