健康な男性の血中テストステロン濃度は350から1000 ng/dLが正常といわれています。総テストステロン値が300-350ng/dL程度で症状がある場合はテストステロン補充療法をすることにより症状の改善が期待できます。またテストステロンが高いかたでも、テストステロンの補充で症状が改善することがあり、その人によって快適なテストステロン値というのは違う可能性があります。
肉体的アプローチとして、運動、十分な睡眠、減量、食生活の改善、糖質制限などがあり、精神的アプローチとしてストレスを溜めない、自分の好きなことをしてみる、魅力的な異性との接触してみる等があります。
運動に関してはランニングなどの有酸素運動と、筋肉トレーニングがありますが、どちらもバランスよく行うのが良いと思います。それは、脂肪の中にはアロマターゼといってテストステロンを女性ホルモンであるエストロゲンに変換してしまう酵素が多く含まれているためです。有酸素運動で内臓脂肪を燃焼させることにより、テストステロンの分解が減少し、結果としてテストステロンが増えることが期待できます。また筋トレは過度な負荷をかけない程度(体の活性酸素が過剰にならない程度)の筋トレをすれば、テストステロンの良い循環ができます。運動すると筋肉量を維持するためにテストステロンは分泌され、同時に筋肉自体がアンドロゲンレセプターを持ち、テストステロンを消費します。過度の運動を繰り返しすると、体内の活性酸素が増加しすぎて、酸化ストレスが増え、テストステロンの循環が滞る恐れがありますので、ほどほどにすることが大切です。
人間の行動とテストステロンは密接に結びついています。ストレスを受けると視床下部の機能が低下して、精巣からテストステロンをうまく出せなくなります。現代人の生活を考えると、ある程度のストレスが毎日のようにかかる続けることは避けれられないので、これを回避する術を身につけることが、テストステロンを正常に保つ秘訣です。
テストステロンの増やし方と言うより、テストステロンの減少を防ぐ予防法ですが、どんな方法でも良いので、自分が青年時代のように熱中できること、夢中になれることを見つけると良いでしょう。一つの物事に興じることで、テストステロンを正常に保ちましょう。もちろんテストステロンは性ホルモンですから、異性との関係に影響されることは当然です。あまり異性と関わらなくなっているような方や、セックスレスなど夫婦のマンネリを自覚している方は、敢えてポジティブに行動することが必要です。
一旦テストステロンは低下してしまうと肉体的にも精神的にも様々な症状が現れることがあります。大きく影響するのは性機能ですが、性欲がなくなってしまうのでマスターベーションの回数も劇的に減ってしまいます。こうなってしまうと、勃起障害(ED)も併発していることが多く、性行為どころではありません。
まずは、少しでも良いから体を動かすことです。
積極的に治療したい方には、テストステロン補充療法といって、テストステロン軟膏を投与することになります。最終的には、テストステロン補充なしでもやっていけるまで回復する方が多いですが、元々の精巣機能が弱く、十分に回復しないためテストステロン補充療法を継続する方もいらっしゃいます。