男性ホルモンの値が高い女子選手が国際大会に出場することを制限する国際陸上競技連盟の規定をめぐり、CAS=スポーツ仲裁裁判所に規定は無効とする訴えを退けられた南アフリカのキャスター・セメンヤ選手が3日、規定の運用が始まる前の最後の国際大会に出場し、女子800メートルで優勝しました。
国際陸連は男性ホルモンの一種、テストステロンが競技力向上につながるとして、このホルモンの値が高い女子選手に対して薬の服用などで一定の値まで下げないかぎり国際大会に出場することを制限する規定を設けました。
これに対して生まれつきテストステロンの値が高い体質で、リオデジャネイロオリンピックの女子800メートルの金メダリスト、セメンヤ選手が去年6月、規定は差別に当たるなどとして無効を求める訴えをCASに起こしました。
CASは1日、規定は差別的ではあるものの、限られた種目の中で公平性を保つという国際陸連の目的を考えると規定は合理的な手段だとしてセメンヤ選手の訴えを退ける裁定を下しました。
3日は規定の運用がはじまる前の最後の国際大会がカタールのドーハで行われ、セメンヤ選手は女子800メートルに出場しました。
セメンヤ選手は好スタートを切ると、終盤の直線ではほかの選手を大きく引き離して今シーズンの自己ベストとなる1分54秒98でフィニッシュし優勝しました。
海外メディアによりますと、セメンヤ選手はことし9月の世界選手権に出場する意向を示したものの、男性ホルモンの値を下げる薬の服用は拒否したということです。
セメンヤ選手は「私が競技場に帰ってこられるように、弁護士たちが最善を尽くしてくれる」と話し、CASの裁定について今後も争う姿勢を示しました。