静岡第一クリニック

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  4. 男性力低下も!40~50代が「男の更年期」を乗り越える方法 健康長寿にも関わるテストステロンとは?

2018.2.3 DIAMOND online から

男性の更年期障害の原因となるのが、前回解説した男性ホルモンの一つ「テストステロン」産生量の低下です。総称して「アンドロゲン」と呼ばれる男性ホルモンのうち、アンドロステンジオン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)に比べ、最も分泌量が多く、作用が強いのがテストステロンです。

その産生量は20代をピークに徐々に落ち、50歳ごろにはピーク時の1/2までに減少。平均して男性は55~65歳で更年期障害を発症します。ただ個人差が激しく、30代後半でもテストステロンの分泌量が激減し、更年期障害に悩まされる人もいます。その原因はストレスです。

男性の場合、テストステロンは95%が睾丸(精巣)、5%が副腎で作られます。精巣の機能をコントロールしているのは、脳下垂体前葉という内分泌器官から分泌されるゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)です。コナドトロピンはストレスが強いと分泌量が減り、それに伴い、テストステロンの産生量も減ります。

40~50代の男性は、会社や家庭での責任が重くなってストレスは増加するものの、若い頃に比べてストレス耐性が低下します。20~30代にバリバリ仕事をしていた人も加齢にプラスして強いストレスが引き金となり、若くして更年期障害を発症する多くケースが近年多く見られます。

「朝勃ち」は血管健康のバロメーター

テストステロン分泌量低下の重要なサインとして「早朝勃起(朝勃ち)」の消失があります。私たちは「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」を交互に繰り返していますが、レム睡眠期には陰茎が勃起を繰り返します。このレム睡眠のタイミングで目覚めて自覚する勃起を「朝勃ち」と呼んでいるのです。

「夜間睡眠時勃起」は性的興奮と関係なく、男児は胎内にいるときから見られる、男性の脳の“生理現象”と言えます。睡眠中の勃起時間は、テストステロン値(テストステロンの分泌量を示す数値)にほぼ相関しており、20代では合計睡眠時間の2分の1、50歳代で4分の1、60代でも健康であれば5分の1は起こっています。

朝勃ちは血管障害のリスクも教えてくれます。勃起は、陰茎の筋肉を緩めるNO(一酸化窒素)が作用して血管が広がり、陰茎の「海綿体」というところに血液が流れ込んで起こります。このNOを作る働きをするのがテストステロンなのです。陰茎の動脈は人体で最も細く、直径にして動脈は1~2mm。心臓は3~4mm、脳は5~7mmです。動脈硬化は細い血管から発生していきます。そのため、勃起障害がある男性は将来的に心疾患(冠動脈疾患)や脳梗塞疾患を発症する確率が高いとの報告があります。

泌尿器科や男性更年期専門外来を受診
更年期障害かどうか気になる方は、この質問表でチェックしてみましょう(表1)。質問項目の14までに、1つでも「3・かなりある」か「4・特につらいまたは非常に強い」が1つでもあったら要注意。2つ以上あったら、医師への相談をおすすめします。

男性更年期障害が疑われる場合、テストステロンをはじめとした男性ホルモンのことを理解している泌尿器科を受診しましょう。

生活習慣病対策として、食事や運動などを気にかける人は増えてきましたが、一番大切な元気の源とも言える「テストステロン」に注目する人はまだ多くありません。テストステロンは、自動車のエンジンオイルのようなものです。身体の機能維持に不可欠で、少なくなったら補充しないと不具合が生じます。メガネや入れ歯と同じように、かけている部分を補うのが健康長寿医学なのです。

「『面倒くさい』がなくなった」。「夕方疲れなくなってきた」。更年期障害や熟年期障害の治療をして症状が改善した患者さんは口を揃えてそう言います。テストステロンレベルを上げ、エンジンオイルを満たすことで、元気さを取り戻すだけでなく、内臓脂肪が減少し、筋肉も増えてきます。生きるためのエンジンオイル「テストステロン」にも気を配り、活力あふれた健康長寿を実現しましょう。